大谷翔平選手MVP受賞

大谷翔平 MVPに選出 日本選手2人目 イチローさん以来20年ぶり
2021年11月19日 9時23分 (NHKニュース)

 大リーグ、エンジェルスの大谷翔平選手が今シーズン、最も活躍した選手に贈られるMVP=最優秀選手に選ばれました。日本選手の受賞は2001年のイチローさん以来2人目で、満票での受賞は大リーグで6年ぶりです。

6年ぶり 満票でMVP
 大リーグのMVPはレギュラーシーズンに最も活躍した選手に贈られ、全米野球記者協会に所属する記者30人の投票によって選ばれます。

ことしの受賞者が18日、アメリカのテレビ番組の中で発表され、アメリカンリーグのMVPに、投打の二刀流でめざましい活躍を見せたエンジェルスの大谷選手が初めて選ばれました。

日本選手のMVPは2001年に大リーグ1年目だったイチローさんが受賞して以来、20年ぶり2人目です。

大谷選手は大リーグ4年目の今シーズン、ピッチャーとして9勝、156奪三振、バッターとしてホームラン46本、100打点、26盗塁で、史上6人目の「ホームラン45本、25盗塁」を達成するなど投打ともに自己最高の成績をマークし、7月のオールスターゲームでは史上初めて投打の同時出場を果たしました。

大谷「すごくうれしい 皆さんに感謝」
 大谷選手は、MVPが発表された番組に中継で出演し「すごくうれしいし、投票してくれた記者や、チームの監督、コーチ、トレーナー、ファンなど支えてくれた皆さんに感謝する」と喜びを口にしました。

そのうえで、二刀流で大リーグに挑戦したときにMVPの獲得を予想していたかについては「とりたいなとはもちろん思っていた。日本にいたときよりアメリカに来たときのほうが受け入れてもらえる雰囲気があったので、感謝している」と話していました。
MVPの最終候補には大谷選手のほか、ホームラン48本でアメリカンリーグのホームラン王を獲得したブルージェイズのゲレーロJr.選手と同じくブルージェイズでホームラン45本を打ったシミエン選手が入っていましたが、大谷選手は投票した30人全員から1位の票を集め、当時ナショナルズだった2015年のハーパー選手以来、6年ぶりに満票での受賞となりました。

ナショナルリーグは打率3割9厘、ホームラン35本をマークしたフィリーズのハーパー選手が2015年以来、2回目の受賞を果たしました。

“二刀流” 歴史塗り替える活躍でMVP
 大谷選手は今シーズン、現代野球では例のない二刀流選手としてホームラン46本を打って9勝をあげ、大リーグの歴史を塗り替える活躍で順当にリーグMVPに選出されました。

大谷選手は今シーズン、大リーグ4年目で初めて、シーズンを通して二刀流でプレーしました。
バッティングでは前半戦だけでホームラン33本を打って日本選手のシーズン最多記録を更新する快進撃を見せホームラン王争いでも一時は独走状態でした。相手の警戒が高まった後半戦は勝負を避けられる場面が相次いだこともあってペースが落ちましたが、最終戦で46号ホームランを打って打点も100の大台に乗せました。
ピッチャーとしては、4月26日の今シーズン3回目の登板で、右ひじを手術する前以来、およそ3年ぶりに勝ち投手となり、6月から9月にかけては8連勝するなど先発ローテーションを守り続けて9勝をあげました。
今シーズンは初めて投打の同時出場を解禁して、先発登板した試合でみずから先制ホームランを打ったりベーブ・ルース以来100年ぶりとなる「ホームラン数トップで先発登板」をしたりと、現代野球では例のない二刀流で活躍を続け、オールスターゲームでは史上初めて、先発ピッチャーを務めながら1番指名打者で出場して勝ち投手となりました。

ホームラン王のタイトルはゲレーロJr.選手に譲りましたが、「ヒット、打点、得点、投球回、奪三振」の投打5部門で100の大台に達した初めての選手となり、投げては160キロ超え、打っては140メートルを超えるホームランと鮮烈な印象を残し、順当にアメリカンリーグのMVPに選ばれました。

【大谷翔平 これまでの歩み】
 大谷翔平選手は岩手県出身で身長1m93センチ、体重95キロ。右投げ左打ちの27歳です。
2012年、岩手県の花巻東高校3年の時に夏の岩手大会準決勝で投手として、球速160キロをマークして注目されたほか、打者として高校通算56本のホームランを打ち注目されました。

2012年のプロ野球ドラフト会議の直前には大リーグ挑戦の意向を表明しましたが、ドラフト1位で指名した日本ハムから、大リーグでプレーするという大谷選手の夢を後押しし、投手と野手の「二刀流」で育成するという異例の提案を受け、入団を決意しました。
日本ハムでは1年目から「二刀流」でプレーし、2年目の2014年には、投手として防御率リーグ3位の2.61、チームトップの11勝を挙げ、球速では当時のプロ野球最速に並ぶ162キロをマークしました。野手としては、主に指名打者として出場し、打率2割7分4厘をマークし、ホームラン10本を打ち、この年、プロ野球史上初めて同じシーズンに2桁勝利と2桁ホームランを達成しました。3年目はバッターとしては打率2割2厘、ホームラン5本でしたが、投手としては先発投手陣の柱として22試合に登板し、15勝5敗、防御率2.24の成績を残し、「最多勝」「最優秀防御率」「勝率第1位」の3つのタイトルを獲得しました。
4年目には、投手として10勝、防御率1.86、プロ野球最速の165キロをマークしました。打者としては自己最多のホームラン22本を打ち、史上初めて投手と指名打者の2つの部門でベストナインに選ばれました。
そして5年目の今シーズンを終えた2017年11月、ポスティングシステムを利用しての大リーグ挑戦を表明。エンジェルスへの入団が決まりました。
エンジェルス1年目の2018年は、ピッチャーとして4勝、バッターとしてホームラン22本を打って新人王に輝きましたが、その年のオフに右ひじのじん帯を修復するトミー・ジョン手術を決断。翌年はバッターで軸足となる左ひざを手術しました。
右ひじの手術から1年半以上が経過した2020年シーズンはピッチャーでは0勝1敗、防御率37.80。バッターでは打率1割9分と本来のパフォーマンスにはほど遠く、2021年シーズンの開幕前、アメリカのメディアの中には2021年シーズンを「二刀流のラストチャンス」と見る向きもありました。

こうした中、大谷選手は2021年、ピッチャーとして9勝、156奪三振、バッターとしてホームラン46本、100打点、26盗塁で、史上6人目の「ホームラン45本、25盗塁」を達成するなど投打ともに自己最高の成績をマークし、シーズンで最も活躍した選手に贈られるMVP=最優秀選手に選ばれました。